2020年世界的に流行している新型コロナウイルス感染症(COVID-19)では、緊急事態宣言後となってからも全国の市営・県営等の公営プールをはじめ、レジャープール等でも多くの施設で今夏の営業中止が発表されています。
中止が検討される背景には、プールでの管理された水(水中)による感染リスクは低いとされる一方、付随する施設利用による接触感染。混雑時におけるプール水面での飛沫等による感染。夏季での新型コロナウイルス感染症と熱中症対策の両立が難しいことが懸念されています。
・プールの水によるコロナウイルス感染リスク
プールの水については、厚生生労働省:「遊泳用プールの衛生基準について」にて定める水質基準によりその塩素濃度( 遊離残留塩素濃度)は、0.4mg/L以上であること。また、1.0mg/L以下であることが望ましいとされています。
また、令和2年5月22日スポーツ庁政策課学校体育室の通達により、「プール水の遊離残留塩素濃度が適切に管理されている場合においては、水中感染のリスクは低い」とされています。
・プール付随する施設等による感染リスクと主な対策
・更衣室
着替えに利用する更衣室は、着替えのために混雑することによる密集による感染リスクがあります。
更衣室利用時間の分散による密集の回避。事前に水着に着替えておくことにより更衣室の利用時間の短縮。更衣室内の換気による予防対策が検討されます。
・ロッカー
利用者が手を触れるロッカーのドアノブは、プール利用に伴う鼻水等が付いた手で触れることで汚染され、後の利用者に対して接触感染のリスクがあります。
接触感染予防としてドアノブ等は定期的に消毒を行う。更衣室内に消毒液を備え付け、ロッカー等の共有部に触れた後に速やかに手の消毒を促すことによる予防対策が検討されます。
・洗面台
洗面台の蛇口による接触感染。ドライヤー利用による飛沫の発生による感染リスクがあります。
蛇口を自動水栓に変更する。接触感染予防として蛇口等は定期的に消毒を行う。共有部に触れた後に速やかに手の消毒を促すことによる予防対策が検討されます。
ボディドライヤーの使用を禁止する。ヘアードライヤーの使用を禁止。または、換気扇の直下など使用場所を制限するなどの予防対策が検討されます。
・プール水面上
プール内が混雑して密集状態となると、水面上での呼吸による飛沫感染リスクがあります。また、混雑時でなくても息継ぎなど運動時の激しい呼吸では、飛沫が飛びやすく飛沫感染リスクが通常より大きくなります。
プールの使用人数を制限する。プール用の耐水マスク着用による予防対策が検討されます。
・監視員、インストラクターのマスク着用
プールを管理する職員や指導員による飛沫による感染リスクがあります。プールサイド等では、不織布マスク。プール内では耐水マスクの着用による予防対策が検討されます。
・見学者のマスク着用、休憩スペース・観覧席の入場制限
プール利用の保護者など見学者の飛沫感染リスクがあります。見学者などプール入水者以外の施設利用者全体へのマスク着用が検討されます
・休憩スペース・観覧席の入場制限
見学者が密集することにより感染リスクがあります。休憩スペース・観覧席の利用では、密集とならないよう広さに応じた入場制限を行うなどして十分なスペースが保てる範囲での利用が検討されます。
・飲食等の制限
休憩スペース等での飲食行為により飛沫感染リスクがあります。
飲食行為を原則禁止とする。飲食は屋外の休憩スペースや、換気が充分に行われている休憩スペースに限る。飲食を行うグループ毎に十分なスペースを保つなどの対策が検討されます。
・プール及び施設内の換気
プール及び更衣室を含め、施設全体を積極的な換気を行うことで感染リスクを低下させます。更衣室では換気扇の常時運転による換気。夏季等ではプールにある窓を解放するなどした常時換気が検討されます。
・2020年新型コロナによる夏季プール監視員不足問題
2020年新型コロナウイルス流行による学校の休校に伴う授業時間数の確保のため、夏休みが短縮されるなどの措置が予定されています。
夏休みが短縮されることにより、プール利用者となる子供の利用者は減少することが予想されています。
また、夏休みを営業の主体とする夏季プール(屋外プール)や、利用者が増加するプールでは、夏季に大学生等のアルバイトにより臨時のプール監視員が大幅に増員されています。しかし、プール監視員となる大学生等も夏休みが短縮されることで、臨時のプール監視員が不足し、プール監視員不足により営業出来ない(警備会社が受託出来ない)ことが予測されています。
・プールの営業中止による影響
2020年の夏、プール監視員不足の問題以外でも、新型コロナウイルスにより感染防止のため全国の市営・県営等の公営プールをはじめ、レジャープール等の多くの施設で営業中止。海水浴場でも多くの地域で開設取り止めが予定されています。
夏季の子供の遊び場であるプールや海水浴場が利用出来ないことにより、河川や湖沼地。海水浴場が開設されていない海などでの水難事故が多発しないかが懸念されています。
海水浴場の開設を取りやめることが決定された地域では、既に事故防止に遊泳の自粛の看板の設置。海岸パトロールの強化が検討されています。
参考資料(外部リンク):スポーツ庁 今年度における学校の水泳授業の取扱いについて
https://www.mext.go.jp/
sports/content/
20200522-spt_sseisaku01-000007434-1.pdf
2020年 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)における通達内容。水中感染のリスクが低いと明記されています。